人間社会では殺人事件や自殺が後を絶たず、また、ペット動物までこのような安楽死処分の有様を見ると、人間は何とむごい生きものなのかと思わざるを得ません。

この実態を、県の動物行政はじっと指をくわえて見ているわけではありませんでした。わずかな予算ながらも、涙ぐましい啓発活動を地道に続けながら、平成6年からは子犬の譲渡会を開始し、平成15年度からは獣医師会と協働で動物愛護ボランティアリーダーを養成したりなどなど、いろんな手法を駆使し、官民一体となった動物愛護に関する普及啓発活動に力を注いできたのです。

また、獣医師会は、平成20年1月から県の譲渡会で譲り受けたメス子犬の飼い主のうち適正飼育講習会を受講した方々に対し、県獣医師会の会員が自己負担し、無料の避妊手術を始めました。メス犬のもらい手が少ないという現状を踏まえ、なんとかメス犬の命を少しでも救うため、それと同時に中身の濃い講習会を受講してもらうことにより模範的な飼い主を増やしていこうというものでした。
全国的にも珍しいこの取組を始めるにあたっては、獣医師会内部でも随分と議論が交わされたものの、5年が経過した現在では、多くの会員の賛同を得ることができ、この事業は軌道に乗り始めたところです。

これらの努力の結果、20数年前まで年間1万匹を超えていた安楽死処分犬を著しく減少させるという大きな成果を上げた一方で、ねこについてはほとんど数値は変わらず、いまだに、やむを得ず行政の手によって、多くの命が失われているのが実態なのです。

このような現状の中で「ねこ問題をどう考え、どう対処していくのか」「ねこの安楽死処分をどうやって減らしていくのか」という難題に対して、ねこ問題を考えるボランティアの方々が動きだし、引きずられるように、行政と獣医師会も一緒になって考え始めたのでした。

そして、平成24年10月から、県はねこの譲渡会を開始し、獣医師会はこれまでメスの子犬に限っていた無料避妊手術を、飼い主に一部費用負担をしてもらうものの、譲渡される全ての犬・ねこを対象に避妊去勢手術をするという、新たな取組を展開することにしました。もちろん、ねこの譲渡会に関しては、これまでも協力していただいていたボランティアとの協働は言うまでもありません。

今回の獣医師会の取組が動物愛護の前進に繋がるのか、実績として成果が上がるのかは現時点では全く分かりません。しかし一つの課題を解決するためには、一歩も二歩も前に進まなければなりません。じっと指をくわえて見ているわけにはいかないのです。
ねこ問題等々ペット動物の課題を解決するためには、複数の手法を駆使しながら大分県方式とも言える行政、ボランティアそして獣医師会のトライアングルがうまく機能していくことが必須であろうと考えており、動物愛護を、掛け声だけにしないためにも、前を見据えて進んで行くことを心に誓っています。

(H.S.)